INTERVIEW

インタビュー

農キャリアトレーナー
受講者インタビュー

金融系営業マンから農業界へ

認定農キャリアトレーナー 日置 順治 さん

大学を卒業してから26年間、日系と外資系の金融機関でがむしゃらに働いてきました。 ちょうど日本の金融再編とリーマンショックに端を発した世界金融危機という最悪な時期だったので、毎日ノルマに追われ身も心もボロボロでした。息子が成人したのをきっかけに「そろそろ、がむしゃらサラリーマンも、もういいかなぁ」と思い会社を辞めて、次の人生どうしようかなと時間を持て余していたところ、友人から「どうせ暇だったらコトモファームの農園見学、一緒に行ってみませんか?」と誘われました。正直、農業なんてホント興味ないし、まったく乗り気じゃありませんでした。天気も良く、小島さんがゆるい感じで日曜講習しているところを見学し、会員の方たちが 笑顔で農作業しているところを見て、「あれ、なんだか時間の流れ方がこれまでの自分とは全然ちがうなぁ」と感じ、友人につられる形で何となくコトモファームを始めることに。 天地返しや畝作りで手の皮がむけ全身筋肉痛になりながらも心地よい汗を流し、種や苗を植えると「はやく育ってくれないかなぁ」とワクワク感。気がつくと畑に毎日通うようになっていました。せっせと畑に通っていたある日、小島さんから「農スクール」の活動について教えて頂く機会がありました。そして農業(野菜作り)には人を元気にして、自信を取り戻し、社会復帰のきっかけにもなり得るという不思議な魔力を聞かされました。確かに振り返ってみると、 サラリーマン時代に身も心もボロボロだった自分自身が、コトモファームで野菜作りを始めるようになってから家族に「お父さん、畑に行くようになって明るくなったね」、「パパ、 最近は楽しそうで生き生きしてるね」と言われるようになっていました。今の歪んだ資本主義社会に適応できるかどうかは本当に紙一重で、誰でも病気を患ったり引きこもったりする可能性があり、社会復帰する過程を経験する事はとても大切なんじゃないかなぁと強く感じていました。農スクールの活動は実は誰にとっても身近なものなんじゃないのかって思うようになり、それで「農スクール」のお手伝いを是非させていただこうという流れになりました。

農キャリアトレーナー育成講座受講へ

「農スクール」のお手伝いをするからには、もっと本格的に農業についてのスキルを身につけなくてはと考えていたところ、農キャリアトレーナー育成講座を紹介されました。農キャリアトレーナー育成講座第7期生は6名でしたが、私がダントツに農業についての経験や知識・起業に向けての目標・志が低かったので、最初は少し不安がありました。でも実際にスタートしてみると、小島さんが私のような農業初心者にも理解できるように、総合講座、理論編、実践編を丁寧に説明してくれたので毎週とても楽しく受講することができました。① 総合講座では就農・起業するために必要な農業界の現状や問題点、法的規制や流通・ 安全における注意点などを学び、②理論編では栽培の基礎となる土壌微生物や農業生態系、 各野菜の栽培方法などが網羅され、③実践編では各種農業機械(トラクター・管理機・刈り払い機・ハンマーナイフ・播種機)を取り扱うことが出来るようにプログラムされていました。小島さんがこれまでの長い実体験の中で積み上げてきたノウハウを、惜しみなく教えてくれるので、大満足な内容でした。また、6か月という時間を同期の受講(同期と言っても20代〜60代と幅広いですが、)と共に過ごすので、他の場所では出会うことのない素晴らしい仲間もできました。

これまでは現在の資本主義社会の中でいかに効率的に経済価値を得ることができるかを最優先して生きてきましたが、農スクールと出会い、無農薬の野菜作りを体験する過程において自然(お日様や雨、昆虫や微生物、雑草など)のありがたみや食の大切さ(自分でつくる無農薬野菜のおいしさ、安全性)を生まれて初めて知りました。

そして「農業」で人は立ち直り、自信や笑顔を取り戻せることも実感しました。 私自身、第二の人生の明確な姿はまだ描ききれていませんが、誰にでも簡単にできる社会貢献の一つが「農業」(無農薬の野菜作り)に携わることであると強く確信しているので、どの様な形であれこれからも関わり続けていきたいと思っています。